【板金加工の基礎知識】板金加工とプレス加工の共通点・相違点

板金加工とプレス加工は、どちらも同じ形状の製品を作ることができ、多くの共通点があります。完成した製品だけを見ると、どちらの加工法で作られたのか、区別が難しいこともあります。しかしながら、両者にはそれぞれ長所・短所があり、求める製品を作るために、板金加工とプレス加工のどちらを選択するかは、品質・コスト・納期(QCD:Quality、Cost、Delivery)を考慮して総合的に判断する必要があります。

1. 板金加工とプレス加工の共通点

板金加工とプレス加工の共通点は、前工程で材料をせん断することです。穴開けや外形抜きでも、金型を利用したせん断が利用されます。せん断加工では、加工面にバリ(ギザギザした突起)が発生します(図1)。バリは製品にとって好ましくないため、取り除く必要があります。

通常、バリは工具の進む方向(抜け側)に発生します。そのため、バリが製品のどちら側に発生するのか、せん断する方向を考慮して設計する必要があります。

板金加工では、例えば短尺材のせん断加工などでスピードが要求される場合、バックゲージを利用することがあります。この場合、製品の左右でせん断の性状が異なります。これが原因で、追加加工作業が発生したり、曲げ加工部分に割れが生じたりするなど、想定外のコストアップにつながることもあるので、注意が必要です。

2. 板金加工とプレス加工の相違点

板金加工は、汎用金型(穴を開ける・曲げるなど基本形状を加工する金型)を用いた少量生産に適しています。一方、プレス加工は、製品形状の専用金型を用いた大量生産に適しています。プレス加工には複数の手法があり、今回は単発・複合加工、順送り加工、トランスファー加工を取り上げます。表1に、板金加工とプレス加工の比較をまとめました。製品を設計する際は、板金加工とプレス加工の加工プロセスが完成品にどのように影響を及ぼすかをイメージし、検討することが重要です。同時に、品質・コスト・納期(QCD:Quality、Cost、Delivery)も大きな判断基準になります。

単発加工 トランスファー加工 順送り加工 板金
金型製作  容易 加工機械の動きによる 難しい 容易
(汎用金型)
材料歩留まり 良い 良い 悪い 良い
加工精度 普通
(複合加工は良い)
成形加工では良い 抜き加工は良い 普通
(作業者の技能に依存)
加工速度 遅い
(手加工の作業量による)
普通 速い 遅い
設備費 低い 高い
(搬送装置など)
高い
(材料供給装置など)
普通

・板金加工

板金加工では、プレスブレーキ(ベンダー)を利用します。汎用金型を使用するため、形状が制限されます。

・単発加工、複合加工

単発加工は、プレス機械のスライドが 1 回上下する間に、1 つの加工を行うプレス加工です。複合加工は、1 回のスライド運動で 2 つ以上の加工を行うプレス加工です。単発加工、複合加工ともに、製品は垂直方向に移動しながら加工されます。プレス機械のスライド運動と同じ方向です。その際、材料の圧延方向が製品精度に大きく影響することがあり、設計段階から注意が必要です。

・トランスファー加工

トランスファー加工では、製品は水平方向に移動します。プレス機械には、単発加工用の金型が複数配列されます。最初に材料を丸型や矩形(くけい)など製品の形状に抜き取り、フィンガーと呼ばれるロボットの手で挟んで、金型から金型へと加工工程を自動送りします。全ての工程を終え、形状が完成すると、プレス機械から出てきます。順送り加工とは異なり、加工工程上にある個々の製品はつながっていません。

・順送り加工

順送り加工では、製品は水平方向に移動しながら加工が進行します。
プレス機械には複数の金型が配置され、各金型で抜き加工や曲げ加工が行われます。製品は移動しながら、各工程を順に経て、完成へと近づきます。製品は、最終工程まで互いにつながっているのが特徴です。順送り加工では、外形抜きや穴開け加工など一部のせん断加工は、一度に行わず、数回に分けて加工します。また、材料はつながった状態で送られ、加工されるため、製品と製品のつなぎの部分には、バリが発生しやすくなります。このような順送り加工特有のバリを防ぐため、外形につなぎ目(マッチング)を設けます。凹凸が許されない箇所につなぎ目を設定することは、不良品発生のトラブル防止になります。