深絞り加工の特徴

深絞り加工とは?

絞り加工とは、板金加工の一種です。一枚の金属板に圧力を加え、絞り込むことで凹状に加工し、容器の形状にする加工方法です。継ぎ目がなく利用用途が非常に高い加工方法のため、アルミ缶や灰皿、ボトル容器など様々な製品に利用されます。絞り加工は、円筒形状や角筒など様々な加工をすることが可能なため、容器だけでなく工業製品や機械部品としても利用することができます。絞り加工の仕組みは、成形したい製品の形状に沿った下側の金型(ダイ)と、それに圧力を加える上型の金型(パンチ)で素材を加工します。その際、素材の端部で発生するシワを抑えるため、ブランクホルダーという、素材をダイに押し付ける板を使用します。ブランクホルダーで素材をダイに押し付け、そこにパンチで上から圧力を与えることで、下端部の形状に沿って素材が変形していき、ダイの穴のなかへと押し込まれます。その後、ブランクホルダーによって抑えていた素材が引き込まれていき、最終的に凹状の形に加工されていきます。その際、素材にひずみが発生し、しわの原因となる可能性がありますが、ブランクホルダーによってひずみの発生を防ぐことが可能です。絞り加工には様々な技法があり、製品の形状や用途によって使い分けることが大切です。代表的な絞り加工は主に7つあります。

①円筒絞り加工
円筒絞り加工は、絞り加工で最も基本的な技法です。素材をブランクホルダーで制御しながら外周部を中心に引き込んでいき、円筒状に成形します。また一度の押し込みで深く入らない場合は複数に分け絞り加工を行うことで、細長い形状に加工することができます。

②角筒絞り加工
角筒絞り加工は、その名のとおり角筒形状に加工する技法です。円筒絞り加工では、素材の外周部がダイの内部に均一に引き込まれていくのに対して、角筒絞り加工では、角部分と辺部分の素材が違う動きをするため、非常に難度の高い加工方法です。角筒絞り加工は、素材のたるみ等の弊害が発生しやすいため、角部では割れが生じやすくなります。また、角筒の長編と短編の大きさが違うほど、加工難易度が上がる傾向があります。

③異形絞り加工
異形絞り加工は、車体パネルなどの複雑な形状に成形する加工方法です。金型などのイニシャルコストの負担はかかりますが、製品のコスト削減が可能です。 異形絞り加工は様々な方向に力がかかるので、その分難易度が高くなります。

④円錐絞り加工
円錐絞り加工は、上部分が広い円形になっており、下に向かうにつれ狭まる形状にする技法です。棒状工具を押し当てることにより、金属薄板を局所的に連続して塑性変形させ、任意の形状に成形することができます。

⑤角錐絞り加工
角錐絞り加工は、底面を多角形に加工する技法です。角筒絞り加工の技法を応用したもので、繊細な技術が必要とされます。

⑥球頭絞り加工
半分が球体状になる加工です。加工時は、半球形のパンチや液圧で成形します。ダイにはめ込めずに加工するため、張り出し加工と呼ばれます。

⑦しごき加工
しごき加工は、主に飲料の缶などに利用される技法で、製品の壁面を縦方向に薄くすることで深さを出す加工方法です。このしごき加工は、製品の壁面の厚みを均一に保つことができるため、寸法精度の向上を図ることができます。絞り加工の製品は、仕上がった製品の深さによって名称が変わります。製品の直径が深さよりも大きいものを「浅絞り加工」、製品の直径以上の深さのものを「深絞り加工」といいます。絞り加工はプレス加工のなかで最も金型の設計が難しく、加工条件などのバランスがうまくかみ合ってこそ、シワや割れの無い絞り加工ができます。深絞り加工は、絞り加工のなかでも、穴が深い為、更に難度が高いとされています。そのため、技術者の技量が重要となってきます。深絞り加工は、その難度から依頼を受け付けていない金属加工メーカーもあるため、業者選びには注意する必要があります。

深絞りの特徴

継ぎ目がなく強度にも優れた深絞り加工には、様々な特徴があります。深絞り加工の特徴は、主に4つ挙げられます。

①加工の工程数を減らせる
溶接や切削などの加工をせずに、ニーズに合わせた加工が可能なため、加工の工程数を減らすことができます。そのため、コスト削減と時間短縮が実現できます。

②大量生産が可能
プレス機械での加工の為、大量生産に非常に向いています。しかし、そのためには入念な金型作成と細かい計算が必要となります。

③素材の負担が少ない
板金一枚で加工するため。製品のひずみやシワ、傷のない加工をすることが可能です。溶接や切削加工なども行わず、素材に与えるダメージが非常に少ない為、製品が丈夫に仕上がります。

④加工硬化が期待できる
深絞り加工は、素材の箇所によって変形量が大きい加工です。そのため、製品の加工硬化が期待できます。材料が薄板でも丈夫な製品に仕上げることが可能です。薄板の硬度を上げることができるため、製品全体の重量が減り、結果的に製品の軽量化にも繋がります。

加工事例