成形工程:焼結の基礎知識

1. 成形工程の種類

粉末を所望の形状に固める工程を成形といいます。図1に、成形工程の種類にまとめました。金型などを使って押し固める加圧成形(プレス成形)が最も一般的な方法です。また、技術的な分類のほかに、成形品の完成度による分類もあります。ニアネットシェイプ成形は、複雑な形状の完成品をほぼその形状に成形して機械加工を極力少なくする方法で、ネットシェイプ成形は、完成品を成形する方法です。

2. 金型成形

金型を用いて加圧成形する方法は、金型成形と呼ばれています。焼結においては、最も一般的な方法です。粉末の金型成形の工程は、粉末充填、加圧、成形体取り出しの3工程に大きく分けられます。

加圧の工程で高い圧力を加えると、粉末成形体の密度が上昇して強度も上がります。一般的には100MPa程度の圧力を加えれば、十分な成形体密度が得られます。一般的な焼結用粉末であれば、成形体密度は50~60%です。金属の場合は、粉末粒子に圧力が加わると塑性変形するので、さらに高い密度を得ることができます。



粉末成形体の強度を上げるために、バインダーと呼ばれる添加物を粉末に混ぜることがあります。具体的には、ポリビニールアルコール(PVA、ポバールとも呼ばれています)やポリビニールブチラール(PVB)などの有機物です。造粒粉末には、このバインダーが既に含まれています。また、金型と粉末粒子、粉末粒子同士の摩擦を軽減するために、潤滑剤を入れることもあります。潤滑剤は、ステアリン酸やステアリン酸亜鉛などが利用されます。潤滑剤やバインダーが混合された造粒粉末を、金型に入れて成形します。



粉末充填の工程では、粉末が均質に敷き詰められていないと、成形体に密度むらが起きます。図3は、筆者の研究室で利用している実験試料成形用金型の写真です。粉末が接触する箇所は、セラミックス粉末との摩擦によって摩耗するので、超硬合金が用いられています。工業製品の場合は複雑な形状も多いため、金型の寸法や形状をどう設計するかは、重要なノウハウです。形状によっては、複数の細かい金型を組み合わせて、多段プレス成形にすることもあります。

3. その他の成形方法

射出成形(インジェクション・モールディング)は、粉末と熱可塑性高分子を混ぜて高温で金型に押し込む方法で、小型製品を大量生産する場合によく用いられます。金属の場合は金属粉末射出成形(MIM:Metal Injection Molding)、セラミックスの場合はセラミックス射出成形(CIM:Ceramics Injection Molding)とも呼ばれます。金属粉末射出でも、セラミックス射出成形でも、小型で複雑な形状の製品をニアネットシェイプ成形することが可能です。泥しょう鋳込み成形(スリップキャスティング)は、水などの液体と粉末からなるスラリーを、多孔質型に入れて成形する方法です。酸化物セラミックスの場合は水と混ぜてスラリーを作り、非酸化物セラミックスや金属の場合はエタノールなどの有機溶媒を利用することもあります。ポイントは、粉末粒子をスラリー中でいかに凝集させずに分散させるかです。欠点は、成形速度が非常に遅いことです。この成形法もリニアネットシェイプ成形が可能であり、セラミックスでは多用されています。



古くは、食器や瓦、装飾用の置物などのトラディショナルセラミックスの工程として、現在では、エンジニアリングセラミックスで複雑な形状の製品を作るときや、金属部品の成形で利用されています。テープキャスティング(ドクターブレード法)は、このスリップキャスティングを応用したもので、プラスティック板の上にスラリーを板状に成形して、薄板状の成形体を作製する方法です。泥しょう鋳込み成形の欠点を改善したのが、ゲルキャスティングです。ゲルキャスティングは、スラリーにモノマーを加え、型に入れた後にモノマーを重合してゲル化させる成形法です。複雑形状の成形が可能であり、成形時間が短く、成形体内の密度が均質です。セラミックスへの適用例が多く、最近では金属での事例も報告されています。



引用:https://www.ipros.jp/technote

著者:長岡技術科学大学 大学院 機械創造工学専攻 教授 南口

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