チタンの特性

チタンの加工上の特性

発火しやすいチタンは摩擦に対する耐性が低く、加工時に出る切り粉が燃える可能性が高いため注意が必要です。万が一チタンの切り粉が燃え出してしまった場合には、絶対に水や二酸化炭素が主成分の消火剤を使わず、金属火災用の粉末消火剤を使って消化します。
摩擦による工具の消耗が激しいチタンには、引っ張り強度が高いという性質があり、加工に使う工具に大きな負荷がかかり、工具の欠けや摩擦による消耗が激しくなります。また、熱伝導率が小さいため、加工時に発生する熱が工具とチタンに溜まり、工具への負担が高くなります。チタン自体の特性を考慮した工具が必要です。
変形しやすいチタンはたわみ(板などが軽く曲がりやすい)が出やすく、加工時に変形しやすいという性質があります。そのため、きっちり寸法通りの精度で仕上げるとなると加工の難易度が高いため、十分に技術やチタン加工の経験を持った職人や企業に依頼するのが無難です。
価格が高くなりやすいチタンの特性は後の章で詳しくまとめていますが、軽量で耐食性が高く強度のある優秀な金属です。素材自体の価格が高いうえに加工コストがかかるため、価格が高くなりやすくなっています。大量に加工し使用したい場合には、予算と見合った価格であるかどうかも考慮する必要があります。

対応可能なチタン加工について

チタンに適用可能な加工方法として、代表的なものに「切断」「曲げ」「溶接」「切削」があります。

切断レーザー加工、ワイヤーカット加工など
曲げプレス加工、密着曲げなど
溶接TIG溶接が一般的で、MIG溶接、電子ビーム溶接など
切削マシニングセンタや汎用フライス加工、ドリル加工など

その他、プレス加工や焼成による成形も行われています。

繰り返しになりますが、チタンは加工が難しい金属素材のひとつであり、また、素材がチタン合金なのか純チタンなのか、さらに合金の場合はチタン以外の素材の種類や割合などにより、加工に使用するマシンの設定や圧力の大きさなどを細かく設定しながら、適切な方法で加工を仕上げる必要があります。

チタンの特性、弱点について

チタンは、数ある金属の中でもバランスの取れた素材です。金属加工といえば、鉄・銅・アルミニウムなど様々な物をイメージされると思いますが、チタンはその上位互換のような特徴を持ち合わせています。

チタンには、主に純チタンと合金チタンの二つに分類されています。純チタンとは言葉の通り不純物がほとんど含んでいないため、チタンの性質が強い金属です。その性質によって、JIS1種からJIS4種までの4種類に分類されます。

一方、合金チタンは、銅やニッケルなどの合金元素を利用用途に合わせて添加したものです。合金チタンには様々な性能のものがあり、純チタンよりも強度や耐食性に優れたものもあります。

チタンの特徴

チタンのメリットは、主に①軽量②強度③耐食性④無毒性の4つがあります。

①軽量

チタンは、金属の中でも非常に軽い特徴があります。他の金属と比較すると、鉄に比べ3/5、銅の1/2の重量しかありません。また、アルミニウムよりは重量がありますが、耐食性や強度の面ではアルミニウムより優秀なため、幅広い用途で使用することができます。

②強度

チタンは、強度が高い特徴を持っています。他の金属と比較すると、鉄に比べおよそ2倍、アルミニウムと比べおよそ3倍の強度があります。また、強度が高いだけでなく耐衝撃性や柔軟性もある為、飛行機などの精密な部品に多く使用されます。

③耐食性

チタンは特に耐食性に優れており、さびにくい性質を持っています。特に海水耐食性が非常に高く、プラチナに次ぐ耐食性があります。そのため、フライパン等のほかにも、船舶の材料としても使用されています。

④無毒性

チタンは体にあまり害のない金属です。金属アレルギーなどが起こりにくく、有毒性もないため、医療用の機器や体内に埋め込む器具に使用されます。また、チタンはイオンの発生が少ないため、金属アレルギーが起こりにくいとされています。電気や熱も通しにくいので、環境にもやさしい金属です。

チタンの弱点

万能で優秀な金属であるチタンですが、デメリットもあります。

①価格が高い

チタンは、優秀な金属であるだけに、価格が非常に高いです。そのため、生産コストが高くなってしまうため、大量発注などには注意が必要です。

②加工するのが難しい

チタンは難削材と言われるほど、加工が難しい素材です。強度が高い為、その他の加工も難しいとされています。そのため、チタンの特徴に合わせた方法で加工しなくてはならず、高い技術が要求されます。チタン加工を依頼できる金属加工メーカーも限られているため、依頼する際は事前に調べることをおすすめします。

チタンのどんな加工を依頼できるのか

 

 

チタンは、加工することが難しい素材になります。しかし、難しいというだけで加工できないということでは、ありません。次はチタンの加工方法についてご紹介させていただきます。

切断

チタンを切断加工する際には、主にレーザー加工やワイヤーカット加工が使用されます。レーザー加工は、レーザー発振器から伝送されたレーザー光を集め、金属に照射して、その熱でレーザー光が集光されたところを溶かして切断する方法です。ワイヤーカット加工は、電極と材料の間に電圧をかけて放電を起こし、溜まった熱で、材料を溶かしながら加工するものです。チタンは硬度が高い金属の為、レーザー等の非接触加工をすることが多いですが、レーザーの場合、レーザーが反射して機械が壊れてしまう可能性がある為、チタン加工を受け付けていない業者もいます。レーザー加工を扱っていればチタンを加工できるというわけではないため、注意が必要です。

曲げ

チタンの曲げ加工は、比較的に容易とされています。金属板の加工に際しては、内側半径は板厚の2倍以上まで曲げることができます。しかし、チタンは弾性が高くスプリングバックが大きいです。そのため、曲げ加工する際は、圧力を加えることで発生するひずみの対処方法や圧力の調整など、細かく設定しなくてはなりません。

溶接

 

 

チタン溶接は、チタンを加工する技術に中で一番難しいとされています。チタンは、活性な金属であるため、低温で溶接しても酸素や水素などと反応して、溶接部分が脆化してしまいます。そのため、シールドガスで溶接部分を大気から遮断することが重要になります。また、他の金属とチタンとの溶接は、金属間化合物が生成するため、直接溶接するのが難しいといえます。他の金属との接合は、主にロウ付け等で行います。チタンの溶接方法は、MIG溶接やTIG溶接、電子ビーム溶接など、様々な種類がありますが、一般的には、TIG溶接で加工することが多いです。

 

切削

チタンは難削材に分類されています。チタンは熱伝導率が低い為、切削加工時に、工具に蓄熱してしまい、工具寿命が短くなってしまいます。また、他の金属と比べ、耐摩耗性が低い為、チタンワークの焼付きが起きてしまう可能性があります。そのため、チタンを切削加工する場合は、多くの場合、専用工具等で加工します。チタンの切削では、マニシングセンター等が使われていますが、マニシングセンターを所持していてもチタン加工を受け付けていない業者もあるため、注意が必要です。

 

参考:https://mitsu-ri.net/articles/tttanium-processing#content-8