ステンレスが錆びない理由

ステンレスは台所の流しや包丁、機械部品に至るまで、幅広く使用されています。
ステンレスの正式名称は ステンレス鋼(ステンレススチール)と言い、ステンレスの「ステン」は「さび」、「レス」は「~がない」という意味で、「ステンレス」は結局、「さびない」という意味になります。

ステンレスが錆びない理由

クロムの役割

ステンレスの最大の特徴は錆びにくいことです。曝露試験の長期間の検査の実施で侵食深さとクロム量の関係が分かってきました。
クロムの含有量が多くなるに従い、侵食深さは小さくなり、くろむ含有量が12%を超えるとまったく侵食されなくなるのです。また、ステンレスが錆びにくいのは、ステンレスに含まれているクロムが鉄よりもイオン化して、酸化しやすいという性質があるためです。
ステンレスが空気や水に触れると、鉄より先にクロムがイオン化して、非常に薄い酸化皮膜の錆を生成します。
この皮膜は5nm(nm:ナノメートルは1mの10億分の1の長さ)程度の非常に薄い透明な膜で、ステンレスの腐食を防止し、光沢を保っていることが特徴です。この皮膜は化学的に非常に安定していて、不動態皮膜と呼ばれています。

不動態被膜とは?

ステンレスが錆びない理由は表面被膜の不動態被膜によるものです。ステンレスの最表面は酸化していて酸化物の被膜ができています。鉄とステンレスの違いはクロムの酸化物の被膜が非常に強く、かつ密着性がいいため周辺から酸素や水の分子がやってきても被膜でシャットアウトし、金属に近づけないことです。被膜は薄いままで、数ナノメーター(0.0000数mm)ですから目に見えません。この被膜のことを不動態被膜と呼んでいます。

不動態皮膜のクロム含有率

ステンレスのクロム含有率は多くなればなるほど、浸食されにくくなり、含有率が12%を超えるとまったく浸食されなくなります。
含有率が12%のクロムのステンレスの場合でも、この皮膜の部分を分析すると、クロム含有量は90%にもなっています。
このように非常にクロムの含有率が多い皮膜で覆われているので、ステンレスは耐食性がよくなり、錆びにくいのです。
また、クロムの含有率が少ない低クロムでは、皮膜の構造は結晶質であるのに対して、クロム含有率が多い高クロムでは、アモルファス化(非結晶化)していき、いわばガラスのように欠陥のない薄くて、均一な膜になっており、膜の下地であるステンレスは直接外気と触れることはなくなり、これがステンレスの耐食性がよい秘密です。クロムの不動態皮膜はヨロイの役割をして、ステンレスの表面を守っており、いわば、錆を持って錆を制すという考えを利用しているのです。以上がステンレスが錆びない理由です。