プレス作業の生産形態と金型 2020.07.9 プレス加工 金型形式と選択基準 ①プレス作業 単発形式➡プレス機に作業者がつき製品の出し入れ及び機械の起動をその都度作業者が行う。 外形抜型製品の外形を抜く。 穴抜型製品の穴を抜く。 総抜型製品の外形と穴を同時に抜く。 曲げ型 製品を曲げる。etc 順送型金型内で材料を順次送り製品を加工し最終ステージで完成品として切り離す トランスファ1台のプレス機または数台のプレスに数型セットし製品をフィードバーにより順次送り製品を完成させる。 ロボットライ 数台のプレス機に単発形式の金型をセットしロボットにより順次送り完成させる。 自動形式➡プレス機に必ずしも作業者を必要とせず材料は自動的に供給され機械は連続または定期的に起動される。 参考として、(トランスファ送り)工程間の製品搬送手段でフィードバーと呼ばれる長い角材状の板にフィンガーと呼ばれる製品クランプ治具を工程毎に設け前後左右に作動する。フィンガーは通常製品毎に専用で要するため交換作業設備費が負担となる。さらにZ方向にも作動する三次元トランスファが最近は多い。スピーカーフレームやモーターケースのような深絞り製品で大量生産品に適する。トランスファでロボットラインのように数台のプレス機を連結し1台のプレス機に1型セットしフィードバーにて送る方式もあるが弱電関係ではロボットラインに代りあまり見られなくなった。本講座では便宜上工程 = 機械・作業者・金型を替えて作業する場合のこと。ステージ = 順送のように同一金型内を移動して作業する場合の個々の工程とします。 ②単発形式と自動形式の比較表 生産性 製品コスト 金型コスト 付帯治具類 材料形態 段取り性 単発 低い 高価 安価 不要 切板、定尺 良好 自動 順送 高い 安価 高価 若干要 コイル 若干悪 ロボット やや低い 単発より安価 安価 必要高価 切板、定尺、コイル 悪い 製品の材料費では順送が若干割高となる。単発作業は作業者がつくため危険性も伴う。 ③選択基準 単発で行うか、自動(順送・ロボット)で行うかは以下の条件で決定されることが多い。 コスト比較による選択 単発コスト×工程数×トータル企画台数+材料費+総金型代 と順送コスト×トータル企画台数+材料費+金型代、またはロボットラインコスト×トータル企画台数+材料費+総金型代+付帯治具代 にて一番安価な生産形態を選択する。 製品形状による選択 順送の場合材料さんに製品がつながっている必要があるため全周曲げ等がある場合一般的には不可。 最終カット部はバリ面打ち不可、バリ高さは他の部分より若干多い。 従ってこの場合は単発加工かロボットラインを選択する。 製品の形状変更を行い、順送とすることが一般的には多い。 製品精度による選択 製品精度を安定して得られる生産形態は単発→ロボットライン→順送の順に安定度が良いと云われている。 プレスの利点 切削加工、モ-ルド、ダイキャスト等の他の生産手段との比較。 利点 ①生産性が高い モ-ルドは1分間に3~10ショットに対しプレスは40~150ショット。 ②材料歩留り率が高い。 平板から作るので、スクラップが少ない。 ③同じ材料で異種品を同時に製作可能。 軽薄短小対応可能。モ-ルドに比べて精度が高い。安定した精度の量産が可能。 欠点 ①任意の複数形状が得られ難しい。 平板から作るため、展開した時干渉は不可。 ②部品点数が増加する。軸を立てる、部品を分割する等が必要になる。 ③設備が高価。 ④作業が危険。ある程度の熟練が必要。 最近のプレス技術に於いては、上記欠点を補う諸々の対策、研究が行われており、ある程度の成果がみられる。 プレス金型について②前の記事 MIM(金属粉末射出成形)の中国調達次の記事