2. 焼結の進み方
製品になる粉末成形体が高温にさらされると、粉末粒子同士が接合され、ネックが形成されます。粉末粒子の表面、あるいは接合部から物質が移動してネック表面に原子やイオン、分子が拡散し、ネックを大きくします。この現象により、焼結体全体の表面積が減少します。
初期段階では、ネックの大きさは小さく、粒子表面の形状が残った内部構造をしています。ネックの直径は粒径のおおよそ30%といわれています。また、粉末成形体の密度が50%程度であれば、焼結の初期段階ではせいぜい60%程度です。焼結の進行に伴い相対密度が上昇する現象を、緻密化といいます。
中期段階では、焼結体の内部構造は、粉末成形体の状態からかけ離れたものになり、気孔の形状はチューブ状になっていきます。これらの気孔は互いにつながり、焼結体は通気性を有している状態です。このような気孔のことを開気孔と呼びます。この段階では、焼結体の相対密度は70~90%です。
終期段階では、焼結体の緻密化が進行し、相対密度が95%を超えたところで気孔が閉じ、焼結体内に孤立した気孔が分散した状態になります。この気孔は、閉気孔と呼ばれます。製品を構成する物質によって、閉気孔は結晶粒界や三重点に形成されます。気孔の量自体が少なくなっていくので、結晶粒界がある程度自由に動くようになり、粒成長も顕著になります。そのため、気孔が粒内に取り込まれて、気孔が合体し成長します。図2は、焼結体の相対密度と気孔率の関係です。相対密度と開気孔率、閉気孔率の総和は1(100%)になります。