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エッチング加工とは?

エッチング加工とは、腐食の作用を利用して行われる表面加工の一つです。中世ヨーロッパの時代から、銅版画などに多く利用されてきたという歴史がありますが、現在では銅以外の金属やガラスなど、幅広い材質の加工に用いられており、最近では半導体工学などの分野においてもその技術が活かされています。 今回は、エッチング加工について、その基本的な知識に加えて、エッチング加工のメリット・デメリットについて幅広く解説します。

 

エッチング加工事例 SUS304 t=0.05

 

エッチング加工とは

 

エッチング加工とは、一般にエッチング液などの化学薬品を利用し、化学反応による腐食作用によって、被加工物を溶解加工する方法を指します。エッチング加工は、超精密な加工にも対応できるため、プレスによる打ち抜き加工では不可能である極小極薄・複雑形状を持つ製品の加工も行うことができます。

このようなエッチング加工は、幅広い分野で使用されており、芸術・インテリア・意匠品などの製作の他にも、電子部品、電気部品、自動車部品、医療機器、光学関連、事務機器などの産業用精密部品にも活用されています。

 

エッチング加工で加工可能な素材

エッチング加工は、基本的に腐食性のある素材であれば、加工を施すことが可能です。金属のエッチング加工では、鉄やステンレス、銅や真鍮などの伸銅品が一般的で、特に、ステンレスや銅などの材質は精密加工に適していると言われています。

エッチング加工で加工可能な素材

ステンレス、銅、鉄、銀、ニッケル、ニクロム、モリブデン、チタン、アルミニウム、タングステンなど

 

エッチング加工の製造工程

 

① 原版作成

まず、図面やデータをもとに、CAD(コンピュータ支援設計)などを用いて、原版を作成します。原版は、製品の寸法や品質を左右する重要な部分となります。

②金属板材の脱脂洗浄

金属板材料の表面に付着している汚れや油脂を除去する脱脂洗浄処理を施します。この洗浄工程は、次工程で行うレジストを材料表面へ塗布する際に、材料への密着性を向上させる目的で行われます。材料表面の洗浄が不完全であると、レジストの密着強度や最終製品の品質、仕上がりにも影響を与えるため、このような前処理が必要となります。

③レジストのラミネート

エッチング液による腐食加工から加工材料表面を保護するマスクとしての役割を持つ、レジスト(感光性を持った樹脂)を金属板材の両面に塗布し、貼り付けます。

④露光でパターンを焼き付け

原版をラミネートの上に被せて露光することで、原版に作画された形状をレジストコートされた材料に焼き付けます。より精密なパターンを再現するために、露光を行う際にはクリーンルーム内での作業が必要とされています。

⑤現像処理

エッチング原版のパターンが露光によって転写された金属材料に、現像処理を行います。この現像処理によって、不要なパターン部のレジストが除去され、その箇所の金属板表面が露出します。これによって、エッチングパターンのマスキングが完成となります。現像の出来映えは、次のエッチングの仕上がりに大きく影響します。

⑥エッチング

マスキングされた金属板材料にエッチング液を吹き付けます。現像作業で露出された金属部分だけがエッチング(腐食による溶解除去)されることによって、原板通りのパターンに金属板が加工されます。

⑦レジスト剥離

エッチング加工後に金属板表面に残っている、レジストによるマスキングを除去し、洗浄・乾燥を行います。

⑧製品検査

外観検査・寸法検査などを行い、製品の完成となります。

 

エッチング加工のメリット

 

①初期費用を抑えられる

エッチング加工では金型の設計や作成が必要ないため、イニシャルコストが抑えられるというメリットがあります。

②加工時間の短縮による短納期の実現

前述したとおり、エッチング加工では金型の作成が要らないため、時間が大幅に短縮でき、短納期で加工を行うことができます。さらに、パターンの変更などが必要な場合でも、金型の変更などを行う必要がないため、スピーディーに行えます。

③繊細で精度を要求される加工が可能

腐食による溶解加工を行うエッチング加工は、非接触加工であるため、プレス加工などで懸念されるバリ・カエリ・ひずみ・たわみなどが発生しません。そのため、エッチング加工は、薄板への加工や複雑な形状の製品への加工などに適しており、デザインなどが繊細で、精度が要求される加工も可能となっています。

 

エッチング加工のデメリット

 

①大規模な大量生産だと不向き

エッチング加工は、イニシャルコストが低い反面、工数が多く加工時にかかるコストが高くなるため、一般的に小ロット・多品種に向いており、大規模な大量生産には不向きであると言われています。

これに対して、プレス加工では、金型の設計・作成に多くの時間・コストが必要となりますが、各工程に要する時間は短く、製造量が多くなると金型の占めるコストの割合は小さくなるため、大量生産に向いています。

②厚板の加工法としては不向きな事も

エッチング加工は化学的な腐食を利用しているため、加工を施す材料の板厚が薄ければ薄いほど、シャープで、より高精度な加工が可能となります。そのため、エッチング加工は薄板金属の精密加工により適しており、厚板の加工法としては不向きであると言えます。

 

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