岐阜精器工業株式会社

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アルミニウムの種類と特徴

アルミニウム合金は、JISH4000(アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条)に52種類(張り合わせ材除く)も種類があり、どれを選ぶか迷うと思います。ここで、よく使われるアルミニウム合金の種類と特徴について説明します。

 

 

  アルミニウム合金の選び方についてはこちら

 

①A1100

 

A1100 非熱処理型合金 純アルミニウム

 

A1100は純アルミ系の材料です。強度が低いため構造材には向きません。成形加工性に優れており、板材のプレス加工で深絞り成形に向きます。家庭用台所用品、照明器具や装飾品などに使われます。

 

A1100の使い方

A1100は純度99%以上の純アルミなので、強度は低いですが、耐食性や溶接性、アルマイト処理性などに優れています。

より純度の高いA1050、A1070などと比較すると、アルマイト処理後にやや白っぽくなる傾向があります。

アルマイト処理済みの板材が流通しているので、切断してそのまま使うような用途であれば、加工後のアルマイト処理が不要となります。(曲げ加工等はできません)

 

A1100の強度

A1100の強度は上記の通りですが、冷間加工を行う場合は、加工硬化により強度が上がります。

O材を使った場合でも、断面減少率が75%で、H18(硬質)並の強度となります。加工率を考慮すれば、加工後の製品の強度を推定することができます。

 

②A1050

 

A1050は、工業用純アルミニウムである1000番台で、多く使われている材料です。

強度が低いので機械部品などの構造材としては向きませんが、加工性、耐食性、溶接性が優れているので、日用品や家庭用品、電気器具などに使用されています。1050、1070、1085はそれぞれ、アルミニウム純度99.50%、99.70%、99.85%以上であることを表しています。

 

A1050の耐食性

A1050は、純アルミであり、耐食性を悪化させる銅、鉄などの元素がほとんど含まれていないため、耐食性は優れています。

 

A1050の溶接

A1050は銅を含まないため、溶接性は良好です。

但し、表面の酸化皮膜を可能な限り除去し、TIG溶接やMIG溶接などで、アルミに適したアークの条件で行わなければなりません。

 

③A1070

 

A1070 非熱処理型合金 純アルミニウム

 

A1070は純度が99.7%以上の純アルミ系の材質です。

強度は低くなりますが、成形性や溶接性、耐食性が優れています。

 

A1070の使い方

純アルミ系で流通量の多い順度99.5%以上のA1050と比較すると、A1070の方が純度99.7%以上と高いため、導電率が高くなることや、磨いた場合に表面の光沢が高くなることが特徴として挙げられます。

大きな違いではありませんが、このような特徴が問題となる場合は、A1070の選定も検討すると良いでしょう。

 

④A2017

A2017とは、ジュラルミンとも呼ばれるアルミニウム合金です。

銅やマグネシウムを合金成分として含み、鋼材に匹敵する強度があります。

銅を含むため耐食性に劣るので、防食について配慮が必要です。純アルミをあわせたクラッド材も使用されます。

溶接性は良くないので、リベットやボルトなどでの組み立てに適しています。

 

A2017の耐食性

A2017を腐食環境下で使用する場合、応力腐食割れについての注意が必要です。

応力腐食割れは、引張応力を受けた状態で腐食環境に置かれた場合に発生します。

 

⑤2024

 

A2024 熱処理型合金 Al-Cu-Mg系合金

 

A2024は、ジェラルミンA2017より更に強度が高く、超ジェラルミンとも呼ばれる材質です。

切削加工性に優れ、航空機材料などに使用されています。

表面にA1230を張り合わせて耐食性を改善させたクラッド材も用いられます。

 

A2024の使い方

A2024は銅が添加された合金なので、強度は高いですが、耐食性が劣ります。

加工については、切削性は良好ですが、溶接は困難です。

0材であれば成形(プレスなど)も可能ですが、加工後に溶体化処理や時効処理が必要となります。

 

A2017やA7075との使い分け

超ジェラルミンA2024と同様に、強度の高い一般的なアルミ合金としては、

A2024より強度が低い、ジェラルミンA2017と、

A2024よりも強度が高い、超々ジェラルミンA7075が有ります。

A2017やA7075耐食性、応力腐食割れ性に大きな違いはないので、一般的には、必要な強度での使い分けとなります。

市販材の価格としては、強度が高いほうが価格も高くなっているようです。

 

高強度アルミ材の使い分け

 

  • A2017:ジュラルミン
  • A2024:超ジュラルミン
  • A7075:超々ジュラルミン

 

と呼ばれるとおり、強度は、A7075>A2024>A2017となります。

A2017の溶接性はよくありませんが不可能ではありません。A7075は溶接は困難です。

A2017は、内部応力が高いので比較的寸法精度を出しにくいですが、A7075の方がこの点優れています。

あとは価格で選ぶことになります。

 

⑥A5052

 

A5052の使い方

A5052は、アルミ合金の代表のような材質なので、最初に候補になるものです。

もう少し強度が必要なら、同じ5000番台のA5083や、6000番台のA6061などが候補になります。

切削性を良くしたければ快削合金のA2011、や硬度の高いA2017などが検討対象になります。

 

A5052の耐食性

A5052は、耐食性に優れています。

アルミニウムは本来とても腐食しやすい金属ですが、表面に大気中で表面に不動態皮膜ができるので、耐食性を得ています。

この不動態皮膜は、ベーマイト(AL2O3・H2O)とその下にアルミナ(AL2O3)からなるバリア層で構成されます。

このベーマイト層を人工的に厚くする、アルマイト処理(陽極酸化皮膜)を行うことで、更に耐食性を向上させられます。

 

A5052の溶接

A5052は銅を含まないため、アルミニウム合金の中では溶接しやすいとされます。

アルミニウムの融点は、660℃程度ですが、表面が酸化皮膜で覆われており、この酸化被膜の融点は、2,000℃以上です。

なので、溶接前にできるだけワイヤーブラシやヤスリなどで酸化皮膜を除去し、溶接中は酸化皮膜を破壊できるようアークの極性などを選びます。

アルミニウム合金の場合は、様々な方法の幅広い条件で溶接が可能な鉄鋼とは異なり、適切な溶接条件を設定する必要があります。

 

⑦A5056

 

A5056 非熱処理型合金 Al-Mg系合金

 

A5056は棒や継目無管のJISで規定された材質で、強度、延性に優れ、耐食性や切削加工性に優れています。
陽極酸化皮膜(アルマイト処理)性も良い特徴があり、光学機器、通信機器、ファスナーなどに使用されます。

 

A5056の使い方

A5056は、汎用のアルミ合金で、丸棒の流通量が多い材料です。切削加工して作る部品に向いています。

質別は、5000番台のMg系の合金は、時効硬化性があるので、1/2硬質材に安定化処理するH34が主流のようです。

耐食性については、硬質材H38だと上表にあるように応力腐食割れのリスクが高まりますので注意を要します。

 

⑧A5083

 

A5083 非熱処理型合金 Al-Mg系合金

 

A5083は非熱処理合金の中で最高の強度があり、耐食性や溶接性も優れた材質です。

船舶、車両、低圧用タンク、圧力容器などに適します。特殊級のA5083PSは液化天然ガス貯槽用です。

 

A5083とA5052の比較

 

5000番台の汎用材A5052と比較すると、A5083の方が強度が高いですが、マイナスポイント(欠点)は下記のような

事項があります。

 

  • 棒や管の流通量が少ない。(板材メイン)
  • ろう付け性が悪い。
  • 応力腐食割れの可能性が高くなる。

 

A5083は固相線温度が低いので、ろう付け温度を上げられず、ろう付けの難易度は高くなります。

A5083は、2000番台や7000番台のCu含有合金と比較すれば応力腐食割れには強く、通常は問題にならないレベルですが、A5083でも加工度を上げて強度を増すと、応力腐食割れのリスクがでてきます。

A5052からA5083に切り替える場合は、上記のような点を評価することをおすすめします。

 

極低温とアルミ合金

A5083は、LNGのタンクに使用されていいます。

アルミニウムは、面心立方構造であることから、体心立方構造の鉄鋼(フェライト)と比較して低温脆性のリスクがありません。

さらに、アルミニウムは低温になるほど強度が上がる特性があります。

このような特性から、-162℃で貯蔵するLNGタンクにはアルミ合金は向いており、A5083は加工性や溶接性にも優れることから、この用途には適しているわけです。

 

⑨A6063とは

 

A6063 熱処理型合金 Al-Mg-Si系合金

 

A6063は、管や形材の代表的な材質です。A6061より強度は下がりますが、押し出し性が良いので複雑な断面形状の形材が作られます。耐食性や表面処理性も良く、サッシや配管材料などに幅広く使用されています。

 

A6063の使い方

A6063は、強度はあまり高くありませんが、耐食性が純アルミなみに良い材料です。

アルミサッシなどの大型の建材に使用されるため、生産量は非常に多い材質です。

機械部品に使用されるパイプ類については、A6063が多用されます。

溶接性、ろう付け性も良好で、O材であれば成形性も良く、パイプ材で端末加工や曲げ加工したのちに熱処理して自動車用配管などにも使用されます。

 

⑩A7075

 

第二次世界大戦でゼロ戦に使用されたことで知られているA7075はは日本で開発されました。

アルミニウムに亜鉛を入れた合金は強度が高いことが判っていましたが、応力腐食割れが問題となり使用できませんでした。これに、適量のクロムを追加することで、実用可能なレベルに改善しました。

しかし、応力腐食割れのリスクが高く、引張応力を受けた状態で腐食環境に置かれた場合に応力腐食割れは発生します。

A7075で一般的なT6処理品は、特に応力腐食割れ速度が早い特性があります。

強度は下がりますが、応力腐食割れ速度を改善するため、過時効処理(T73)も使われます。

 

⑪A7003とは

 

A7003 熱処理型合金 Al-Zn-Mg系合金

 

A7003は、溶接構造用合金で、A7204(A7N01)より強度は若干低くなりますが、押し出し性に優れている材質です。

A6061と同等以上の強度で押し出し性はA6063に近い特性があります。
土木用途や溶接構造材に適します。

 

A7003の使い方

A7003は銅を含まないAl-Zn-Mg系ありながら、A6061を上回る強度がある合金です。

溶接構造で強度も必要な用途に適します。

より強度が必要な場合は、A7204(A7N01)も検討すべきです。

 


 

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