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中国企業と取引する際に知っておくべき注意点

 

海外調達をする際は「部品代の決済に時間を要してしまった」「前払いしたのにも関わらず注文した部品が届かない」など問題が発生する可能性があります。問題を回避するためには、取引の契約段階からしっかりと部品の受け取り方法を知っておくこと、協議することが重要です。今回は取引をする際の取引条件や決済タイミングの例などを用いてて解説をします。

 

中国企業との取引条件

 

 

中国を含むアジアの地域では、国内取引と違い、取引開始の際には厳しい取引条件を要求されることが多いです。見積り書には支払い条件を全額前払いで指定されていることもしばしば見受けられます。または、金額が大きい場合は金額の半分を前払いにし、部品納品後に残額を支払うよう指定される事もあります。(発注金額の50%を前払い、金型製造着手金50%の金額を前払いなど)これは中国で小切手や手形を取り扱うシーンが少なく、企業間での支払いにおけるリスクが高かったことが影響していると思われます。しかし、発注側としましては前払いによる支払い方法はリスクが存在します。支払いが済んでも、発注した部品が必ずしも納品されるとは限らないからです。安心できる取引をするためには、いくつか方法があるのでご紹介します。

 

L/C (Letter of Credit)の利用

L/Cとは銀行が発行する支払いの確約書 (信用状)です。
銀行が発注者の代わりに部品代の支払いを保証するため、発注者が懸念している「本当に納品されるのかどうか」というリスクは回避できます。L/Cはスムーズに取引を行うための手段の1つですが、手続きが少々複雑であることが難点です。

 

D/PもしくはD/Aの利用

発注者は為替手形に対して、銀行に代金を支払うことで船積書類が発行されます。この書類と引き換えに部品を受け取る方法をD/P (Documents against Payment)といいます。
一方で、D/A (Documents against Acceptance)は為替手形に対して手形の期日支払いを確約してから船積書類が発行される方法です。
ただし、どちらの決済方法も銀行による保証がないため、L/Cと比較して安心度が低くなります。取引先と信頼関係が築けてきたら、L/CからD/Pによる決済に変更するなど提案をすると良いでしょう。

 

TT決済 (Telegraphic Transfer Remittance)の利用

TT決済は発注者が期日までに銀行振込みをする方法 (電信送金)で、上記2つの決済方法よりも手続きが簡単です。しかし、L/Cよりも保証が強いとはいえず、受注者側にとっては本当に送金してくれるかどうか不安を感じる面があります。取引先とまだ信頼関係が築けていない状態で、TT決済を利用する際は支払契約を結ぶなどして、双方のリスクを緩和させるべきです。決済の具体的な流れについては、銀行のホームページでご確認ください。(下記はみずほ銀行でL/Cを利用した場合の流れ)L/Cコンファメーション(L/C確認) | みずほ銀行(mizuhobank.co.jp)

 

よくある事例紹介

契約書を交わした後に支払い条件の変更は難しいため、あらかじめ発注者と受注者間で支払いの比率を相談しておくと良いです。
ここでは製造業でよく取引される支払いの比率を3つのパターンに分けてご紹介します。

 

金型を発注の場合
【注文時50%前金 製品金型検収後 残金ご入金】

金型製作のように金額が大きくなる場合には、50%分の金額を前払いする事はよくあります。
部品を製造する側としては、前金の割合を増やして貰う方がメリットは大きいですが、発注側としてはリスクを伴います。前金を50%、金型検収後に残りの50%を支払うことで双方のリスクは平等になります。

 

家電製品発注時
【発注時30%前金 船積み出向前60%ご入金 到着後残金10%ご入金】

受注者にとっては、代金の支払いは早いほうが都合が良く、可能であれば部品を船便で発送する前に回収したいところです。しかし、発注側からすると部品が手元に届いているわけでは無いのに、代金の支払いをすることはリスクです。
そこでおすすめするのが前項で述べたB/L (船荷証券)で、これは荷物の船積みが確認されたときに発行される証明書です。B/Lが発行される事で発注者は「荷物が船積みされた」と確認ができるので、不安を感じる事なく残金を支払うことが出来るのです。

 

チタンなどの高機能材料購入時
【発注時全額 受け取り後納入】

こちらは完全に前払いをする方法で、発注者にとってはリスクが大きいです。L/Cで決済すべきか、または他の決済方法を選択すべきかどうかは、予め相談しておくのが良いでしょう。転廠(てんしょう)は中国国内にある企業間にて、半完成品 (途中まで加工が施されているもの)を保税取引することである。日本には馴染みのない文化ですが、中国ではしばしば行われる取引です。

 

転廠の流れ

中国では柔軟な保税政策が取られていています。
※保税政策…外国から発送された輸入許可前の貨物、もしくは輸出の許可を受けた貨物は、関税法上で外国貨物と見なされる。税関長は外国貨物を置くことができる。中国では来料加工や進料加工のように、輸出を前提とした加工を行なう時に材料の保税輸入を認めますが、転廠はその応用形といえます。転廠前は転入側と転出側で税関の許可を得る必要があります。

 

転廠の複雑さ

転廠は完成品を輸出するまでが保税の対象となります。
税関へ転廠枠の申請をし貨物を発送した後、翌月末までに転廠通関申告されます。中国企業の転出側と転入側で取引をする際は、間接輸入扱いになります。
そのため、広東省では国内販売の増税値が発生しません。しかし、広東省以外の地域では国内販売と認識されて増税値が発生する場合もあるので確認が必要です。
このように転廠をする際に増値税がどのように課税されるかは、地域によって取り扱いが異なります。そこが転廠を複雑にしているひとつの要因かもしれません。

 

岐阜精器工業は数多くの中国企業と取り引きを行っております。数多くの実績を積むことで日本の工場と取引条件は何ら変わらないことも多くあります。それは中国の商習慣を良く理解したスタッフが中国に在中しており、中国の方々と信頼を作りあげるのに長けているからだと理解しています。

 

 

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