SCM435　レーザー刻印　試作切削加工品

クロムモリブデン鋼（SCM材）とは

クロムモリブデン鋼は、機械構造用合金鋼に属しており、鉄（Fe）を主成分とし、クロム（Cr）とモリブデン（Mo）の合金元素を添加した鋼の一種です。また、炭素Cのほかに、マンガンMn・クロムCr・ニッケルNi・モリブデンMoなどの合金元素を適量添加したもので、その量に応じて鋼の性質に変化を及ぼします。SCM435にもこれらの合金元素が添加されており、さまざまな特性を持っています。

クロムモリブデン鋼の特性

クロムモリブデン鋼は、材料の中心部まで焼入れしやすく、歪の発生も抑えることが可能で、空冷のように冷却速度が遅くても焼入れできるのが特徴です。クロムモリブデン鋼のなかでも、SCM435は比較的高い機械的性質を持っています。靭性（粘り強さ）も有しており、材料が割れにくいところが特徴です。そのため、加工性も良く、美しく仕上がり、溶接性にも優れているため、美観が求められる製品に採用されることが多いです。また、500℃前後の高温環境下でも強度が落ちにくいため、高温高圧の箇所に使われることもあります。

高強度

クロムとモリブデンの添加により、クロムモリブデン鋼は高い強度を備えています。これにより、耐久性や耐摩耗性が向上し、強靭な材料となります。

耐熱性

クロムモリブデン鋼は高温に対して優れた耐熱性を持ちます。高温環境下での強度や硬度の維持が可能であり、高温での使用に適しています。

腐食耐性

クロムの添加により、クロムモリブデン鋼は優れた腐食耐性を有します。酸や塩水環境などの腐食に対して耐性を示し、長期間にわたって耐久性を保ちます。

溶接性

クロムモリブデン鋼は溶接性が高く、溶接による接合が容易です。適切な溶接手法と材料の選択により、強固な接合が可能です。

クロムモリブデン鋼のメリット

クロムモリブデン鋼は強度、耐摩耗性、耐腐食性、高温耐性などの特性が求められる環境や部品において重要な材料となっています。これらのメリットから、クロムモリブデン鋼は自動車産業、航空宇宙産業、エネルギー産業、工具製造など、様々な分野で広く使用されています。

高強度

クロムモリブデン鋼は、クロムとモリブデンの添加により高い強度を得ることができます。そのため、強度が要求される部品や構造物に使用されます。

耐摩耗性

クロムモリブデン鋼は、その硬度と耐久性により優れた耐摩耗性を持ちます。摩擦や磨耗による劣化を抑え、長期間にわたって耐久性を保ちます。

耐腐食性

クロムの添加により、クロムモリブデン鋼は優れた腐食耐性を持ちます。酸や塩水などの腐食環境においても耐性を示し、長寿命な材料として使用されます。

高温耐性

クロムモリブデン鋼は高温においてもその強度や硬度を保つことができます。このため、高温環境で使用される部品や構造物に適しています。

加工性

クロムモリブデン鋼は一般的に良好な加工性を持ちます。機械加工や熱処理による形状変更が比較的容易であり、多様な形状や用途に対応することができます。

クロムモリブデン鋼（SCM435）を採用するメリット

SCM435は、特殊な合金と比べるとお手頃な値段で、汎用性が高い材料です。硬度と強度を有し、摩耗や傷に強い特性もあります。また、ステンレスほどではありませんが、クロムを多少含んでいるため、耐食性も有しています。そのほかにも、適度な「しなり」を生み、振動を吸収しやすいことから、自転車のフレームとしてもよく使われています。

用途

クロムモリブデン鋼は広範な用途に利用されています。例えば、ボルトナット類、航空機のエンジン部品、自動車のエンジンやシャーシ、自転車のフレーム、石油・ガス産業のパイプライン、圧力容器、バルブなどの材料に使われており、工具や刃物などの製造に広く使用されています。これらは、強度や耐摩耗性に加えて、500℃での高温環境下でも強度が落ちにくいといった、SCM435の特性を利用しています。その優れた特性から、高い強度と耐久性を求められる環境や産業において重要な材料となっています。

自転車のフレーム

自転車では、軽さを追及してアルミやチタン、カーボンなどといった素材のモノが増えています。しかし、SCM435はフレームとしては最も昔から使われている材料で、適度な「しなり」が今でも根強い人気の理由です。また、振動吸収性に優れていて、段差や足場の悪い場所でもアルミ製の自転車に比べて振動が緩和され、体の負担が軽減されます。