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治具に使用される材質の種類と特徴

治具に使用される材質の種類と特徴

 

 

治具によく使用される材質にはステンレス、アルミニウム、鉄、銅(真鍮)、樹脂などがあります。材質にはそれぞれ特徴があり、おおまかに「機械的性質」「物理的性質」「化学的性質」の3種類に分類されます。材質選定をする場合には主に、下記の性質を見て検討します。

 

  • 機械的性質:硬度、強度
  • 物理的性質:導電性、耐熱性
  • 化学的性質:耐食性

 

材質の種類と特徴

材質の特徴 材料名
錆びにくい ステンレス、樹脂
精度が必要 金属素材
頑丈で長持ちする ステンレス、鉄
加工しやすい アルミニウム、銅、樹脂
熱に強い ステンレス、鉄
軽い アルミニウム、樹脂
安価
絶縁性に優れる 樹脂
柔らかい アルミニウム、銅、樹脂

 

 

材質の種類

 

ステンレス

 

 

ステンレスとは、鉄を主成分として、クロム含有量が 10.5 %以上、炭素含有量が 1.2 % 以下の材質のことを言います。ステンレスにはクロムが含まれているので、錆びにくく強度や耐熱性に優れた材質です。そのため、強度が必要で、水がかかることが多い治具の材料として使用します。しかし、ステンレスは他の金属に比べると切削性に劣るため、材料費と加工費の両方ともコストは高くなります。また、ステンレスは金属組織別に「マルテンサイト系」「フェライト系」「オーステナイト系」の3種類に分類されます。

 

マルテンサイト系

マルテンサイト系は焼き入れと焼き戻しの処理を行うことで、より一層、強度や耐摩耗性が高まる材質です。例えばマルテンサイト系のSUS420J2は耐食性、強度ともに優れた材質で、焼き入れと焼戻しを行うことで強度や硬度が高まります。そのため、治具と加工品の間で頻繁に摩擦が起こるような場合にも、長期に渡って精度を保ちます。

 

フェライト系

フェライト系はマルテンサイト系とオーステナイト系の間に位置する材質です。例えばフェライト系のSUS430は安価で広く流通しており、磁性や切削性に優れた材質です。ただ、オーステナイト系のSUS304より、耐食性、耐熱性に劣ります。

 

オーステナイト系

オーステナイト系は耐食性が高く、低温・高温環境下でも強度の低下が少ない材質です。オーステナイト系には、一般にとてもよく使われており、流通量も多いSUS304などがあります。SUS304は耐食性・耐熱性に優れているので、高温となる場所で使用される部品の材料に選ばれます。

 

アルミニウム

 

 

アルミニウム合金は治具の材料として選定されることが多いです。アルミニウムは金属の中で、鉄と比較して約1/3の重量と軽いのが特徴です。そのため、治具を軽量化したい場合に選定されます。また、表面が腐食しやすいため、アルマイト加工など表面処理が一般的に行われます。他の金属より軽量で加工しやすい材質なので、場合によっては作業効率化にも繋がります。

 

Al-Cu系(アルミニウム+銅)

鋼材に匹敵するほど強度が高く、ジュラルミンと呼ばれるA2017などの材質があります。高価ですが、鋼材並の強度が必要な場合はジュラルミン系の材質を選定します。

 

Al-Mg系(アルミニウム+マグネシウム)

アルミニウムにマグネシウムを加えて強度と耐食性を高めた材質で、代表的にA5052があります。アルミニウム合金の中では中程度の強度のA5052は、幅広く流通しており、入手しやすい材料です。汎用性が高くて軽いので、治具製作の際によく選定されます。また、ステンレスほどではないですが、耐食性もあります。

 

Al-Zn-Mg系(アルミニウム+亜鉛+マグネシウム)

アルミニウムに亜鉛とマグネシウムを加えており、アルミ合金の中で最も強度が高い材質です。「超々ジュラルミン」と呼ばれるA7075などの材質がありますが、切削性や耐食性には劣ります。A7075は鋼とほぼ同じ強度ですが、価格はとても高いです。

 

 

 

治具で使われる鉄は、炭素を0.02〜2%含んだ炭素鋼に属します。一般に、炭素の含有量が増えると強度と硬度が増し、靭性(粘り強さやしなやかさ)が低下します。比較的安価で強度や加工性に優れますが、錆に弱いので必要に応じて表面処理を行います。鉄鋼材の種類には「SS材」や「SC材」、「SCM材」などがあります。

 

SS材:一般構造用圧延鋼材

炭素の含有量は約0.15〜0.2%ほどで、軟鋼に分類されます。汎用性が高く、幅広く使用されている材質です。特にSS400は安価で流通量も多く、入手しやすい材料です。

 

SC材:機械構造用炭素鋼鋼材

SS材より炭素の含有量が高めの炭素鋼です。焼入れと焼戻しで、さらに強度や硬度を上げることができます。その中で、S45CはSS材のSS400より、強度と硬度がともに高く、価格もSS400よりは高価です。

 

SCM材:機械構造用合金鋼鋼材

炭素のほかにマンガン、クロム、ニッケル、モリブデンなどを適量添加したもので、SCM435などがあります。SCM435は、焼入れ焼戻しをすることで、高い機械的性質と靭性が得られます。主に強度や耐摩耗性が要求される際に選定されます。そのままだと特性が活かせず、価格に見合わないので、基本的には熱処理を施してから使います。

 

銅(真鍮)

 

 

銅は加工性がよいので、高い精度が必要な場合や、アルミニウムより硬度が必要な時に選定されます。また、延展性がよいので柔軟に変形しやすい材質です。薄く延ばしたり細長くしたりという加工が、他の金属より簡単にできます。銅の中でも真鍮は、亜鉛を20%以上含有している合金のことを指します。

 

C2600

C2600は、黄銅1種と呼ばれ、銅と亜鉛の比率が70:30となっている黄銅です。黄銅板の中で最も銅の割合が高いため、非常に絞り加工性がよくヘラ絞り用として使用されます。絞り加工性やめっき性に優れます。

 

C2700

C2700は銅が63~67%と亜鉛を主成分として構成されています。 真鍮の中でも亜鉛の割合が比較的高いため、硬度が高いタイプになります。展延性、絞り加工性に優れ、めっき性に優れます。

 

C2801

C2801は、一般的に「真鍮」と呼ばれる材料です。 C2801の特徴 一般的に真鍮と呼ばれており、熱間加工性に優れ冷間加工性は劣る黄銅です。強度が高く展延性に優れる材質です。

 

C3604

C3604は快削黄銅二種ともいわれ、真鍮においては切削に最も適した材料で、黄銅に鉛を添加することで切削性を高めた真鍮で特に被削性に優れています。
高い切削性があり、他の黄銅より切削性に優れます。

 

樹脂

 

樹脂は、金属に比べて加工の際に精度がでにくい材質です。そのため、治具の精度や強度、耐熱性が金属ほど必要ない場合に選定します。また金属よりもやわらかいため、設備やワークを傷つけたくない場合にも選定されます。ただし、硬いワークと頻繁に接するような加工では摩耗が激しくなるので注意が必要です。また、他の材料に比べて圧倒的に軽い材質で、アルミニウムの半分程度の重さです。その他にも、絶縁性があり、錆びにくいという特徴があります。しかし、吸湿性が高い、紫外線に弱い、熱に弱いなど、環境に影響を受けやすい樹脂もあるので、治具を使用する環境に応じて適切な樹脂を選定します。治具の材質として、機械的強度や耐熱性を必要としない場合は、ABS樹脂などの汎用プラスチックを選定します。プラスチックは一般的に、強度や耐熱性が低く、安価なイメージがありますが、中には金属よりも高価なものもあります。

 

樹脂の種類と特徴

タイプ 熱可塑性樹脂 熱硬化性樹脂
種類 汎用プラスチック エンジニアリングプラスチック スーパーエンジニアリングプラスチック
名称 ABS樹脂 MCナイロン POM PEEK シリコン樹脂
材質 絶縁性に優れる ・機械的性質に優れる
・吸湿性が高い
耐摩耗性、機械的強度、寸法安定性、耐熱性に優れる ・耐熱性、機械的強度に優れる
・価格が高い
耐熱性、電気特性、撥水性に優れる

 

 

 

 

 

 

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